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ナマコとイリコ#2 中国がナマコ好きになるまで 3 

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前話、#2-2 スペインとポルトガルの大冒険 の続きです。

スペイン転生物語 ~邪教に滅ぼされそうなので、魔界で無双してみた~

大西洋は俺たちのモンだ!

コンスタンティノープル陥落事件で膝から崩れ落ちるほどのショックを受けたスペインとポルトガルは、新たな交易路と未知のキリスト教世界を求めて、キャラベル船に、敵であるムスリムの商人たちが使う三角帆や羅針盤などのテクノロジーをインストールして、大西洋を狂ったように東奔西走しはじめました。とりあえず「明日は我が身」なわけで、ムスリムに征服される恐怖が彼らを「まだ見ぬ海の向こうにあるかもしれない異世界」へ向かわせました。下手な鉄砲数撃ちゃ当たる戦法でしたが、とりあえず大西洋沖に出ると南向きの海流があるので、それに乗ってアフリカ西岸まで南下し、そのままアフリカの沿岸沿いを廻って喜望峰を通過してインドにまで到達する交易ルートを確立しました。このルートは国土が大西洋に面しているポルトガルが速攻で押さえました。押さえると言っても銃と砲も使って土地を占拠して拠点化する荒っぽいやり方です。拠点ができると補給と整備ができるので、航海距離をどんどん延長できるので、長大な交易ルートができました。

バスコ・ダ・ガマの初回航路。リスボンから喜望峰までの航路はバルトロメウ=ディアスによってすでに確立されている。(AnonymousUnknown author, Public domain, via Wikimedia Commons)

一方でポルトガルに出遅れたスペインは、仕方なく、アフリカ西岸から西に流れる海流に乗って大海原を進むことにしました。それに乗って危険度マックスの大西洋を横断すると、幸いなことにいくつかの島々やその先に広い感じの陸地も見つかりました。原始人か亜人のような連中もいました、銃どころか鉄も文字も持っていない得体のしれない連中でしたが、銃と砲で開拓者たちは各地を簡単に占拠することができました。拠点を築きながら先へ進むと、やがて海流は北に流れ始め、それに乗ると今度は現在のキューバあたりで海流は東に向きを変え、そのまま自国に流れ着くことができました。意外なほどあっさりと大西洋に交易ルートができました。

大西洋の表面流を移動するプランクトンの流れを表した図。スペインはこの図の6→2’→3(もしくは6→2→3)の流れに乗って交易ルートを確立。ポルトガルも一部、海流を利用したが、より沿岸流を利用した。(unknown cartographer, Public domain, via Wikimedia Commons)

異世界の亜人どもはなぜか豊かで、なぜか友好的な連中もいて、交易ルートはすぐに軌道に乗り始めました。するとスペインは「あれ?俺このまま異世界で無双できるんじゃね?」と思い始め、先に飛び石航法で世界中の海岸に拠点を築きまくって儲けまくっていたポルトガルと一緒になって、二国は荒唐無稽な条約を結びます。「現在のブラジル東部あたりで世界を切り分けて、東はポルトガル、西はスペインの土地ってことにします!」と宣言しました(後のトルデシリャス条約)。この二国による世界支配という、中学生の自意識のような、身勝手極まりない妄言は、そこに史上最低のローマ教皇と名高いスペイン出身のアレクサンデル6世が裏書きをして権威が付いたことによって、キリスト教世界の中の公文書的なものになってしまいました。

トルデシリャス条約 (1494 年) による世界の分割。この地図に描かれた海岸線が、まさに両国の影響下にあった。(Ane Urrutia, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons)

ポルトガル、香辛料を独占して大歓喜。

この取り決めは、ポルトガルに有利なものでした。より「詰んだ」立地だったポルトガルのほうが「狂気の大航海」を、スペインよりも挙国一致で敢行し、先行して各地に中継地を開設していたからです。これよりポルトガルは、新大陸には現在のブラジルのサルバドルあたりに拠点を作った程度で、未知の新大陸を冒険して開拓するというリスクを犯すことなく、ヴァスコ・ダ・ガマが開拓したアフリカ喜望峰経由の「インド航路」を伸展させることに心血を注ぎ、香辛料交易で莫大な富を稼ぎながら距離を伸ばし、ついに香辛料の唯一の産地であると当時信じられていたモルッカ諸島に到達。やがてモルッカ諸島の直接的な植民地経営に乗り出し、香辛料貿易を独占するに至りました。

現在のインドネシア共和国でモルッカ諸島はマルク州と北マルク州に分かれる。(–22:18, 18 November 2007 (UTC), Public domain, via Wikimedia Commons)

スペイン、魔界の征服へ。

ポルトガルに出遅れたスペインは新大陸の探検を始めます。直前までイスラム教勢力のと戦っていた戦慣れした連中です。また、宗教色の強いプロの軍人でもあります。そんな彼らはまるで、かつての十字軍に参加しているような宗教的な使命感と正義感と、個人的な野心をもって、新世界を蹂躙してまわりました。自分たちを本当に十字軍で数々の伝説を残したテンプル騎士団の直系と考えていたようです。崇高な神を拒絶し悪魔の教えに染まった南米の邪教徒どもを粛々と駆除し、奴らの悪の帝国を粛々と消滅させ、邪悪な文明が溜め込んだ膨大な金製品や宝物を、正統な文明人である彼らの手に取り返すことで浄化しました。また慈悲深い彼らは、邪悪な文明に染まり切っていない未開人(半人間)どもは殺さず捕獲し、牛馬と同格に扱い牛馬の代わりに働かせるという寛大さを見せました。

アステカの首都、テノチティトランを前に祈る征服者たち。コルテス率いる征服者たちはアステカ帝国と果敢に戦い、150人が戦死したと伝わる敗戦(悲しき夜)などの苦難の末に、無事、テノチティトランを蹂躙、廃墟とした。征服者たちの基本戦術は、欧州の疫病に対する免疫を持たないアステカに対して天然痘などの伝染病を化学兵器として使い、銃火器を局地戦と防衛に使用したもので、1100万人ほどだったアステカの人口は瞬く間に100万程度にまで減り、アステカは滅亡した。(Margaret Duncan Coxhead, Public domain, via Wikimedia Commons)

魔界を開発してみよう!

例えば、現在のペルーやメキシコなどにあった銀山などには、採掘道具として、お目溢しされた半人間どもが大量に使用されました。奴らは次々と捕獲され、ピストン輸送されて来るので、開発は順調に拡大し、銀は次々と地上に掘り出されました。半人間どもは、エサだけは与える必要がりましたが、故障や不具合が起きても手入れの必要はなく、壊れて動かなくなれば捨てればよいので、非常に便利な使い捨て道具でした。

ポトシから世界に価格革命をもたらしたセロ・リコ(金持ちの丘)銀山を望む。(Martin St-Amant (S23678), CC BY 3.0, via Wikimedia Commons)

デキた?じゃ、改宗。

余談ですが、神の威光が届いていない暗黒世界を日々浄化するという崇高な使命に邁進する、正しい文明人であるスペイン征服者たちは、酒と煙草を飲み、半人間を獣姦することで一時の精神の安らぎを得ていました。馬鹿な話で、半人間どもは不遜にも孕み、子を産みました。また、人間ではないとは言え交わった女には情も湧きます。そこで、子を成した女に対しては、形式的なものでもお構いなしに即座に改宗させ、即席で人間に昇格させ現地妻としました。征服者は征服先の各地で妻を作り、次々と子を孕ませました。産まれた子達はクリスチャンとしての世界観で育てられ、やがて成長すると征服者たちと同様に選民意識と優越感、使命感と義務感をもって新大陸の統治に勤しみ、やがて征服者の後継者として新大陸の実働的な支配階級となりました。

18世紀末または19世紀初頭の絵画。「1.スペイン人はインディアンからメスティーソを生み出す。/スペイン人1、インディアン2、メスティーソ3」と書かれてある。(See page for author, Public domain, via Wikimedia Commons)

ここで面白いのが、征服者たちは新世界の住民たちを人間と感じておらず、見なしておらず、扱いもしていなかったのに、形式だけでもキリスト教に改宗させた途端に、人間扱いどころか同胞や仲間と似た「身内意識」を持って彼らに接することができたという点です。ここらあたりの極端な双極性のような心情の変化が、私がキリスト教世界の価値判断の基準にしばしば感じる違和感、理解出来なさの根底にあるモノなのかもしれません。ラノベとかでよくある魔王VS勇者モノの世界観って、まさにこんな感じですよね。女の悪魔が勇者と結ばれて人間側の味方になるなんてのも、よくある展開です。

征服者の二大有名人、フランシス・ピサロとエルナン・コルテス。征服者(コンキスタドール)とは「征服」を事業目的としたベンチャー企業的な、私的で小規模な軍事組織のことで、彼らは投機家から資金を調達し、スペイン政府(王)に征服許可の申請し、征服に必要な様々な困難な準備を自発的にクリアして、散発的に大西洋を渡っていった。彼らの軍事戦略はゲリラ的で、心理戦や破壊活動、テロリズムなどを駆使した。迷信を利用して彼らに対する敵意を逸し、先住民同士の対立を煽って同士討ちをデザインし、そしてスペインから持ち込んだ伝染病を利用してバイオテロを行いパンデミックを引き起こした。無論、直接的な武力戦闘では銃砲で敵を圧倒した。(Urituguasi, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

#2-4 スペイン、銀を世界に垂れ流す。に続きます。

参考文献:

廣野卓 「卑弥呼は何を食べていたか」

参考サイト:

Wikipedia、百度百科、コトバンク、You Tube、世界史の窓、畜産茨城、外務省、水産庁、在ペルー日本国大使館、水産振興ONLINE、魚が消えていく本当の理由、東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所語源由来辞典、ごさんべえのぺーじ、インドネシア情報ライン旅の情報〜地理の世界から〜、しまね観光ナビ、ちそう、など。

画像元サイト:

Wikimedia Commons、写真AC、など。

括坊奚

岡山市在住の野良キュレーター。
日常を豊かにするリーダーズ・ダイジェストを目指しています。
構造に関するコンテンツが好きです。

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